教育費を贈与で受け取った場合のメリットとは?

教育費を贈与で受け取った場合のメリットとは?

子どもの教育費は小学校~大学まで合わせて一人1,000万円はかかると言われています。経済の低迷で共働き家庭が進む中、夫婦は効率的に子供の教育費も貯めなくてはいけません。

そんな中、祖父母からの贈与で教育費の一部として利用する家庭が増えています。教育費の贈与は与えられる側がお金をもらえて助かるというだけでなく、与える側である祖父母側にも税金免除のメリットがあります。

今回の記事では、教育費の贈与の仕組みや受け取った場合のメリットについて分かりやすくお伝えします。

1.教育費の贈与とはどんな仕組みなのか?

30歳未満の子や孫に教育費としてお金を一括で贈与する場合、平成30年度末までは1,500万円までの金額について非課税になるという税制です。

平成25年から2年限定でスタートしたこの制度は、好評につき平成30年度(2018年度)末まで期間延長されました。

①教育費以外には使用出来ない

お金を贈与する立場としては、「大切なお金は可愛い孫の教育費として渡したい」「孫の父親の酒代などになってしまうのは許せない!」という気持ちが、本心としてあるかもしれません。

教育費の贈与の非課税制度を使えば、お金はいったん信託銀行などの金融機関に預けられます孫の親が好き勝手に引き出せないので、その点は非常に安心です。

教育費の贈与に関しては「まご よろこぶ」なんてネーミングの三菱UFJ信託銀行の商品もあるとか。金融機関側も富裕層の高齢者をターゲットにした商品を続々とラインナップしています。

②孫に与える教育費は信託銀行にいったん預ける

信託銀行に一括して預けたお金は、子や孫が教育資金として使用すると証明する請求書や領収書を金融機関に提出することで、引き出すことが可能です。

教育費の贈与

図をご覧ください。子どもの教育費がまとまってかかるイベントは大学入学時だけではなく、小学校や高校の入学時にお金が必要な家庭もあることでしょう。祖父母から一括で贈与されたお金は、子や孫が30歳になるまで複数回に分けて引き出せます。

③入学金、授業料だけでなく塾代や留学費用としても使える

この制度で認定されている教育費は、学校などの教育期間に支払うお金だけではありません塾や習い事の月謝通学定期代海外留学のための渡航費など、幅広く指定出来ます。

祖父母がかなりのお金持ちで1,500万円という満額を贈与してくれた場合、孫の生涯の教育費をほとんど祖父母からの贈与でまかなうことも十分可能です。

④暦年贈与と併用が可能

贈与に関しては、毎年110万円までは元々非課税とされています。今回の記事で取り上げている教育費の贈与の1,500万円分の非課税枠と併用することが出来ます

平成30年度末の1年に一括贈与するのであれば、1,500万円プラス110万円合計1,610万円を一括贈与することが出来ます

2.贈与する側のメリット・デメリットを考えよう

教育費の贈与税非課税の仕組みは、メリットを受ける方もいらっしゃいますが反面、暦年贈与でよかったと後悔される方も少なからずいらっしゃいます。ここでは、贈与する側の立場となり、メリットだけではなくデメリットも同時にご紹介します。

①メリット

(1)相続税が減る

夫婦のうち片方が病気で間もなく亡くなりそうで、もうすぐ自分に人生初めての相続が発生する。そんな夫婦は、「妻(夫)に相続税がかかってしまうから、今のうちに可愛い孫に一括贈与しよう」という気持ちになるようです。

例えば、夫の資産が5,000万円であり相続人が妻一人だけの場合、基礎控除分を除いた1,400万円が課税価格となります。課税価格が1,000万円~3,000万円以下の場合は、税率は10%です。

5,000万円-基礎控除額(3,000万円 + ※600万円)=1,400万円

※相続人一人につき600万円の基礎控除枠があります

1,400万円からさらに課税価格別の控除額(50万円)を指し引いて、税率10%をかけたものが相続税として支払う金額です。

1,400万円-50万円×10%=135万円

自身の資産を孫や子に一括贈与すれば、例の場合、135万円の相続税を節約することが出来ます。

(2)暦年贈与のわずらわしさがない

毎年110万円までの贈与であれば、非課税。この仕組みについては、世間で広く知れ渡っています。

1,500万円までの教育費一括贈与に魅力を感じる方は、「毎年110万円を10回以上も振り込むよりは、1回で済むから手続きが簡単。振込手数料も節約出来る」と思うようです。

②デメリット

教育費を贈与で受け取った場合のメリットとは?

(1)そもそも相続税がかからないならナンセンス

よほどのお金持ちであれば別ですが、資産が現在3,000万円~5,000万円程の方は焦って一括贈与する必要はありません。

何故なら前述したように、相続税の基礎控除枠が3,000万円もあるからです。

さらに、相続人一人につき追加で600万円の控除枠もあります。資産が1億円近くある方であれば、そして夫婦そろって余命間もないのであれば、積極的に孫や子に贈与してください。

しかし、それ以外であれば無理して一括贈与することはありません。一括贈与されて一番嬉しいのはあなたではなく、孫の親、そして金融機関なのです。

(2)中途解約出来ない

孫の喜ぶ顔を見たいからと言って、大切な資産を安易に預けないようにしましょう。一度預けてしまうと、絶対に中途解約は出来ません。

もちろん、資産が充分にある方で相続税の節約という恩恵を受けられるのであれば、一括贈与をするメリットもあることでしょう。

また、「配偶者に資産をあげるくらいなら、可愛い孫の教育費として利用される方が良い」という考えの方であれば一括贈与も後悔のないものとなるでしょう。

3.贈与される側のメリットとデメリットとは?

最後に、贈与される側のメリットとデメリットを考えてみましょう。意外な点ですが、贈与される側にも少なからず面倒な手続きが発生するのです。

①メリット

(1)教育費の心配をせず毎日を過ごせる

祖父母から教育費の援助を受ける事が出来れば、孫の親はゆとりをもった生活をすることが出来ます

現在、日本人の労働者の中で半数の世帯が共働き夫婦という時代です。子育て世代は働き盛りですので、家の家賃、食費、子どもの衣類や携帯代等の生活以外にも、自分の老後の資産、親のための介護や葬式のお金など幅広いお金を貯えなくてはいけません。

最もお金を必要とする子供の教育費を祖父母が援助してくれるのであれば、その分正社員の妻はパートにして子供の勉強を見ることも出来ますし、夫婦の会話も増えるかもしれません。

教育資金の贈与を受けた夫婦は、祖父母への感謝を持ちながら、余裕のある生活を送ることが出来るでしょう。

(2)孫や子の学歴が充実する

学習するための環境は、悲しいことですが、お金で差がつくものです。先進国と後進国の経済の違いは、子どもへの教育環境を整える力があるかどうかという差から生まれます。

あなたが資産を一括贈与すれば、贈与を受けた側は余裕を持って教育を受けるチャンスをプレゼントされたことになります。お金がないと、いろいろな面で教育のチャンスを諦めなくてはいけません。

しかし、お金があれば以下のように教育の選択肢が増えるのです。

  • 公立ではなく私立に通う
  • 評判のよい分かりやすい先生がいる塾に通う
  • 孫が習いたがっているフィギアスケートの教室に通う
  • 孫は将来海外で働きたいので、留学で英語力を身に着ける

②デメリット

(1)お金を引き出す手続きが面倒

贈与される側のデメリットは、祖父母から信託銀行などに預けられたお金を引き出す手間がかかるということです。

現金で贈与を受けていれば、いちいち領収者や明細を揃えて手続きする必要はありません。しかし、教育資金の一括贈与として援助を受けた資金は、引き出す時に教育資金として使うことを証明する請求書や明細書などを揃え、銀行窓口で手続きをしなくてはいけません

(2)30歳までに使いきらなかった分には贈与税がかかる

孫に1,500万円という満額を贈与し、配偶者への相続税も節約出来大満足のAさん。しかし、贈与を受けた孫Bさんは公立学校を中心とした教育を受けてきたため、約400万円が信託銀行に残ってしまいました

教育費一括贈与で受けた資金は、旅行や振袖など、他の資金に使うことは出来ません。400万円を使い切れなかった孫は、税率30%の贈与税をかけられてしまいます。

400万円-25万円(控除額)=375万円

375万円×30%=112.5万円

まとめ

相続税の一括贈与に向いている方は、確実に相続税がかかる、自身の資産にかなり余裕がある方です。孫や子の喜ぶ顔見たさに、生活に支障の出る程の贈与をするのはやめましょう。

「孫の大学の教育費を補助してあげたい」。こんな考えれあれば、年間110万円までの贈与を2~3回援助するだけでも、充分助かるはずです。